「イシューからはじめよ」を読んで、タメになったことと、実践したこと。
1.本書が他のビジネス本と圧倒的に異なる点
この本が他のビジネス本と圧倒的に異なる点。
それは、圧倒的に生産性が高い人の
共通項を書いていることにある。
巷にあふれている本は"問題解決"や"思考法"をテーマとした本が多く、
その多くがツールやテクニックの紹介で、本当に価値のあるアウトプットを
生み出すという視点で書かれたものは少ないように感じる。
本書は、アウトプットを一定期間内に生み出すために必要なことは何か
ということを紹介してくれている本である。
2.筆者の紹介・筆を取ったきっかけ
・外資系コンサルティング会社で経営コンサルタントとして10年以上勤務
・途中で、科学者として脳神経科学の研究を行っていた。
⇒この2つの経験から、分野がビジネスであろうと、サイエンスであろうと、
本当に優れた知的生産には共通の手法があるということに気づいた筆者は、
本書を書くことを決意。
3.本書の概要
生産性を上げるために最初に考えるべきことは、
そもそも「生産性」とは何かということである。
この本でいうところの生産性の定義は実に簡単で、
同じ労力・時間でどれだけのアウトプットを生み出せたかということである。
つまり、同じインプットで、より多くのアウトプットを生み出すことである。
では、「多くのアウトプット」とはどういうことなのだろうか。
"プロフェッショナルにとってバリューのある仕事とは何か?”
本書では、バリューの本質は二つの軸から成り立っていると考えている。
①イシュー度
②解の質
イシュー度とは、自分の置かれた局面でこの問題に答えを出す「必要性の高さ」を表す。
解の質とは、イシューに対し、「どこまで明確に答えを出せているか」の度合いを表す。
多くの人はマトリックスの縦軸である解の質が仕事のバリューを決めると考えている。
そして横軸であるイシュー度、つまり、課題の質については
あまり関心を持たない傾向がある。
しかし、本当にバリューのある仕事をして、
世の中に意味のあるインパクトを与えようとするなら、
あるいは、本当にお金を稼ごうとするならこのイシュー度こそが大切である。
なぜなら、イシュー度の低い仕事は、どんなにそれに対する「解の質」が
高かろうと受益者(クライアント)から見た時の価値はゼロに等しいからである。
つまり本書は、イシュー度の上げ方、そして解の質の高め方の本質・手法を
一緒に読者と考えていく本である。
【生産性=イシュー度×解の質】
つまり、無駄な仕事には、手を出さず、しかるべき課題を見つけ、
しっかり時間をかけ、解の質を上げましょう。ということ。
本書は、課題の精査方法から、解の質の上げ方まで、詳細に記載されています。
4.読んでいて、タメになった点
私が読んでいて、ためになったなぁ・・・と思った文章を一部ご紹介します。
(1)イシューを見極めよ。
最初に解の質を上げるのは NG である。
理由は、イシュー度の低い仕事で高い質の解を出しても、
生産性は全く上がらないからである。
つまり、最初にイシュー度の高い問題に絞る必要がある。
イシュー度の高い問題に絞ることで、無駄な問題に時間を割く必要がなくなり、
価値のある問題に取り組む時間が10~20倍に増える。
創出した時間で検討・分析を行うことで、解の質を上げることができる。
要約すると、問題を絞り込まないことには、生産性は上がらない。
ということである。
(2)イシューを見極めるためには、一次情報に触れよ
イシューを見極める第一のコツは一次情報に触れることである。
一次情報とは、だれのフィルターも通っていない情報である。
例えば、下記があげられる。
・モノづくりの場合…生産ライン、調達の現場に立つ。現場の人の話を聞く。
・販売の場合…販売の現場に出向く。店頭に立って顧客の声を聞く 。
・商品開発の場合…商品が使われている現場に出向く。
商品を使っている顧客と話をする。
なぜそれを使うのかどう使い分けているのかなどの話を聞く。
・研究の場合…そのテーマを研究している人、
その手法を開発した人の研究室に行く。
話を聞き、現場を見る。
・地方の場合…対象とする地方とそこと対極的な動きをしている地方に出向き、
違いや辞書を見て理解する
・データの場合…加工されていない生のデータにあたり、
変化のパターンや特徴を見て理解する。
現場で何が起こっているかを見て、肌で感じないと理解できないことは多い。
いかに優れた表現情報といえども、二次的な情報は 、なんらか多面的かつ
複合的な対象の一つの面を巧妙に引き出したものに過ぎない。
そこからこぼれ落ちた「現実」は、それを直接見ない人には認知できない。
つまり、本やネット、誰かに聞いた情報は、知りたいことをダイレクトに
知ることができるが、現実からそぎ落とされた情報した入手できないため、
課題を精査するためにも、一次情報を入手することは大事だということ。
(3)分析とは何か?
筆者の考える分析とは、比較、すなわち比べることである。
例えば、「ジャイアント馬場はでかい」という表現を聞いて、
「これは分析だと思うか?」と周りの人に尋ねてみると、
ほとんどの人が、「分析だとは思わない」と答える。
しかし、ジャイアント馬場の身長を日本人を含む、他の国の平均身長と
比較した場合には「分析だ」と答える。
(ジャイアント馬場:209cm/日本人:172cm/イギリス人:178cm…と比較する)
つまり、分析では、適切な「比較の軸」が鍵となる。
数値は、単体では意味を持たず、何かと比較することで
初めて意味を持つということ。
(4)軽快に答えを出す。
「人工知能の父」と言われるマービン・ミンスキーが、
リチャード・ファインマンを評した次の言葉が、質の高いアウトプットを
出すことについての本質をついている。
・仲間の圧力に左右されない。
・問題の本質が何であるかをいつも見失わず、希望的観測に頼ることがない
・物事を表すのに多くのやり方を持つ。一つの方法がうまくいかなければ、
さっと他の方法に切り替える。
いくつもの方法を組み合わせたり、既存の手法に自分なりの視点を加えたり
することで、はじめて答えに近づく。
手段と目的が入れ替わらないことは、視野を広げるという点で
とても重要である。ということ。
1つの方法に固執せず、いろいろなツールを用いて
課題に取り組みましょう!
(5)アウトプットの資料作りの心得
どんな説明もうこれ以上できないほど簡単にするべきである。
それでも人は分からないというものだ。
そして自分が理解できなければ、それを作った人間のことを馬鹿だと思うものだ。
人は決して自分の頭が悪いなんて思わない。
下記のような相手を想定し、説明するとと良い。
・利き手は完全に無知だと思え。
・ 利き手はコードの知性を持つを想定せよ。
資料を誰に向けて作るか、ということはとても重要なことですが、
上記のような人に向けて書けばいいのか。と1つペルソナを作ることができました。
4.感想
ある程度、仕事が身についてきた人が読むべき本であると感じました。
仕事をしていると、与えられた課題を淡々とこなしてしまいがちですが、
まずは、その課題の本当の問題は何なのか。ということを考えるようになりました。
いつも定常的に行っていることであれば、エクセルマクロ等で自動化し、
本当に自分の頭で考えなければ答えがでない問題に集中できる環境を、
直近2か月くらいで整備したところ、アウトプットが変わらず、
残業時間を押さえて、早く帰れる日が増えてきました。
(元々、毎日21:00~22:00だったのが、19:00~20:00に帰れるようになりました。)
個人的に、3.(4)に書いている通り、1つの方法に固執しない。ということは、
高いアウトプットを出すことに対して、とても重要と感じています。
昔からの風習で、定常的に処理している内容に対して、疑問を持つべきです。
目的と手段が逆になってしまっていることが、
身の回りでもあるのでは無いでしょうか?
目的を見失わなければ、手段は変えることができます。
定常的な処理は”手段”なのですから。
私は、エンジニアなのですが、昔から行っている製品検査方法で、
誤判定率が2%あった方法を0.1%以下する方法を提案しました。
資料は3.(5)に書いたことを意識し、意思決定のできる立場の人に説明しました。
まだ社会人としては、若手ですが、採用され、検査方法はガラリと変わり、
誤差判定率は減少し、誤判定したことによる対応時間が削減され、
自分の時間を生み出すことができました。
今は、別の改善活動を行っています。
アウトプットを最大化し、自分のために使用できる時間を増やしたいからです。
(登山のこととか考えたいので!笑)
ポイントは、昔からの検査方法(手段)にとらわれず、
検査で確認したいこと(目的)を見失わなかったことです。
もし、この本に出会えてなかったら、一生、この誤判定品の対応業務が
発生していたかもしれません。
アウトプットに大きな差が出ている時代です。
課題の本質を見抜き、色々な視点からアプローチし、
解の質を高めることで、アウトプットを最大化し、
自分のために使える時間を生み出していきましょう。
最後に、あーーーー山行きたい!テニスしたい!
コロナの収束を願っています!!!!
趣味の登山についても情報を発信しています。
良ければこちらものぞいてみてください!
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!
まんぼ